LOGIN「あぁ、大丈夫だって……宿題は終わったのか?」
何とかこの場を離れ、一人になりたい一心でそう問いかけると、ユアは屈託のない笑顔で答えた。
「ん? おわったー♪」
そういうと、いつものようにユアは俺の隣に横になり、スマホをいじりだした。彼女の横顔は、妹ながらに本当に可愛いと思う。くりくりした大きな瞳、すっと通った鼻筋、そして、ぷっくりと柔らかそうな唇。これが、妹ではなく彼女だったら……どんなに幸せだろう。そんな叶わない思いが、胸の奥でチクリと痛んだ。
「だれかとやり取りしてるのか?」
無意識に、少し探るような口調になっていたかもしれない。しかし、ユアは俺のそんな思惑を知る由もなく、スマホの画面を俺に見せるように向きを変える。
「ううん。ゲームしてるー! ほらぁ」
彼女の画面には、可愛らしいキャラクターが跳ねるゲーム画面が映し出されていた。その無邪気な様子に安堵しつつも、俺はさらに踏み込んだ質問をしてみる。
「学校で好きな男子とか出来てたりするのか?」
その言葉に、ユアの指がピタリと止まる。そして、少し視線をさまよわせながら、もごもごと口ごもった。
「えぇーいないよ……」
声のトーンが、いつもよりほんの少しだけ高かった。いや、これは完全に動揺している。俺の言葉に、ユアの頬がうっすらとピンク色に染まっていくのが分かった。
え? なに、その反応……。絶対にいるじゃん、好きなやつ。まー、中2だもんな。そういう年頃か。頭では分かっているのに、心がざわつく。
そっか……俺のユアに彼氏が? 想像しただけで、胸の奥が熱くなるような、じりじりとした嫉妬の炎が湧き上がる。
『お兄ちゃん、だぁーいすきっ』とか言って、俺の腕に抱きついてきてくれてたのにな……。そんな可愛らしい仕草が、もう他の男に向かうかもしれない。その考えが、頭から離れなかった。
俺が少し落ち込んでいると、ユアは近いのにさらに顔を近づけてくる。まるで俺の心の曇りを覗き込むかのように、その大きな瞳が俺をじっと見つめていた。
「え? ……だいじょうぶ? 顔色悪いよ??」
彼女の吐息が俺の肌にかかり、ふわりと甘い香りが漂う。俺は、その香りに理性を揺さぶられながらも、胸の奥で渦巻く感情を抑えきれず、ついきつく言い放ってしまった。
「別に、大丈夫だから」
その言葉は、思っていたよりもずっと強く、冷たく響いた。ユアの表情が、一瞬で凍りつく。大きな瞳はみるみるうちに潤み、不安げに揺れ始めた。
「……ご、ごめん……おこってるぅ?」
ユアは、まるで捨てられた子犬のように、か細い声でそう尋ねた。その声には、謝罪と同時に、俺に嫌われたくないという切実な思いがにじみ出ていた。そして、甘えるように、彼女のやわらかい頬が俺の頬にぴたっとくっつく。その小さな身体から伝わる熱と、震えるような感触に、俺は後悔で胸が締め付けられた。
俺は、頬をくっつけてきたユアに、正直に自分の気持ちを打ち明けた。
「……お前に、好きな人が出来たっぽいから……ちょっと、妬いてただけだって……」
俺の言葉に、ユアはそっと頬を離し、潤んだ瞳をさらに大きく見開いた。そして、恥ずかしそうに下を向き、小さな声で呟いた。
「ん……ただの、ともだちぃ……」
へぇ……男友達ができたのか。まあ、そうだろうな。頭では分かっているけれど、胸のざわつきは収まらない。彼女の表情や声から伝わる、隠しきれない感情。それを目の当たりにすることが、こんなにも辛いとは。
「そっか……まあ、頑張ってくれ……」
感情を抑えきれずに、俺はイライラしながら、ついユアに背を向けた。まるで、彼女の顔を見たくないかのように。その瞬間、背後からひっそりと小さな声が聞こえた。
「あ! わ、わわっ。機嫌なおしてよぅーお兄ーちゃん! ちゅぅ……」
ふいに、やわらかな感触が俺の頬に触れた。ユアが俺の背中に顔を寄せ、その唇が俺の頬にキスをしていた。彼女の唇は、とてもやわらかくて、まるで綿菓子のように甘い香りがした。
ん? は? おいおい……。今までベタベタとスキンシップはしていたけれど、キスやエロいことはしたことがなかった。だというのに、こんなにもあっさりと。まるで、これが当たり前であるかのように。なんだか、今日はエロイベントが多すぎる。学校だけでは飽き足らず、まさか妹までもが? 俺の心臓は、激しく脈打ち始めた。
もともと、お互いに募る想いが強かった分、ユアのキスはあまりにも濃厚だった。頬に伝わる唇のぷにっとした感触に加えて、温かく、にゅるっとした舌の感触まで、生々しく伝わってくる。
すでに、俺たちは兄妹としての一線を越えかかってるって! ユアさん!?
俺は、混乱しながらも、どうにか言葉を絞り出した。
「ゆ、ユア?」
ユアは、満足げに俺の頬から顔を離し、潤んだ瞳で上目遣いに見上げてきた。その顔は、ほんのり赤く染まっている。
「……んぅ? ……機嫌、なおったぁ……?」
そのあどけない声に、俺は再び身体中が熱くなるのを感じた。
ユナは、嬉しそうに、俺の上に覆いかぶさると、俺の胸に、自分の頬を当てた。そして、ぎゅぅぅと、強く俺を抱きしめてきた。ユナの柔らかな胸が、俺の胸に押し付けられ、温かい吐息が、俺の首筋にかかる。 その体勢は、まるで、ユナが、俺を包み込んでいるかのようだった。 ユナは、俺の胸に頬を当てたまま、小さな声で、唸り始めた。「うぅーん……難しいね。どうやって……キスしながら……胸を揉めるのかな?」 ユナは、真剣に考え込んでいるようだった。俺が言った言葉を、そのまま受け止めているのだろう。顔を上げたユナの潤んだ瞳は、真面目な光を宿し、そのぷるんとした唇は、今にも何かを口にしようと、わずかに動いていた。 その可愛らしい表情とは裏腹に、ユナが発した言葉は、あまりにもエロティックで、俺の理性は、今にも崩れ去りそうだった。 俺の上に跨がるユナの身体の下腹部辺りに、俺の大きくなった息子が当たっているのを感じた。 ハッとしたように、ユナが顔を真っ赤に染め。彼女は、赤くなった顔を隠す様に慌てて俺の胸に顔を埋めるように押し当ててきた。「んっ……!」 ユナの体勢が変わったことで、今度は、ユナの下腹部が、まさしく俺の息子の存在を、じっくりと確かめるように、むにゅ、むにゅ、と、遠慮のない刺激を与えてきた。 柔らかな感触と、ダイレクトな刺激に、俺の体は、熱を帯び、心臓が早鐘のように打ち始めた。ユナは、気づいているのか、いないのか。どちらにしても、この無邪気な刺激は、俺の理性を、じわじわと蝕んでいく。 俺の上に覆いかぶさるユナの柔らかな身体。その感触と熱を、ユナが下腹部でじっとりと確かめてくる。ユナは、俺が長年、その彼女の胸の柔らかさや形を想像し、わずかに透けるブラジャーやスポブラに興奮していたことなど、知る由もないだろう。 だが、今日、ユナ本人から「優しくなら……」と、触れることを許された。この状況で、理性で抑えきれる自信はなかった。このままでは、確実に射精してしまう。き
大きなソファーだったが、ユナは、俺に密着して座ると、潤ませた目で、俺を見つめてきた。その瞳は、まるで、「続きはしないの?」と、言葉を失った俺に、訴えかけているようだった。 俺は、ユナの熱い視線に耐えられず、勇気を出して問いかけた。「なぁ……なんで、底辺の俺とキスを? あのキスはファーストキスじゃないのか?」 俺の言葉に、ユナは、少しだけ驚いた顔をした。そして、恥ずかしそうに、顔を赤らめた。「え? あ、う、うん。ファーストキスだよ。底辺って……そんなことないでしょ」 ユナは、そう言うと、俺の肩に頭を乗せるように、ゆっくりと寄りかかってきた。その柔らかな重みが、俺の肩に、じんわりと伝わってきた。 ユナは、俺の肩に頭を乗せ、少しだけ熱を帯びた声で、過去の出来事を話し始めた。「んー……中学の時に、わたし……変な正義感で先輩に注意をしちゃって……「は? お前、なに様なの? 偉そうに……」って……絡まれちゃって、ユイトくんが体を張って、わたしを守ってくれたんだよ。覚えてるかなぁ?」 え? そんなことしたっけ? 俺は、首を傾げた。でも、ボコボコにされたのは覚えている。誰かを助けたという明確な記憶はないけれど、確かに、震えて怯えていた子がいたような気がする。「それからね、傷だらけになった姿で「ケガはないか? 大丈夫か?」って……自分は傷だらけなのに……わたしの心配をしてくれたの。あれから……ずっと、ずっと好きだったんだよ」 はい? じゃあ、俺たちは、ずっと両想いだったわけか? なるほど……それで、俺が困っている時に、さりげなく助けてくれていたのか。俺は、ユナの言葉に驚きと、そして胸を締め付けるような、熱い感情を抱いた。 ユナは、過去の出来事をすべて話し終えると、俺の腕を優しく引っ張った。そして、俺を
ユナの頬は桃色に染まり、潤んだ目は、まるで俺に、「私を求めて」と語りかけているようだった。俺は、その熱い視線に吸い寄せられるように、ユナに顔を近づけた。すると、ユナは、ゆっくりと目を閉じ、わずかに、ぷるんとした唇を、俺に差し出してきた。 中学の時に出会ってから、密かに想いを寄せていた憧れの人。その人と、今、唇を重ねようとしている。 俺は、ユナの唇に、そっと自分の唇を重ねた。だが、それは、ただ触れ合っただけのキスではなかった。 じゅる、と、甘い水音を立てて、俺は、ユナの唇を、優しく吸い付いた。すると、ユナも、まるで、そのキスを待っていたかのように、自分から俺の唇を吸い付いてきた。 ユナの唇は、温かく、そして驚くほど柔らかかった。俺は、ユナの唇を、深く、そして熱く吸い続けた。ユナも、それに呼応するように、俺の唇を吸い付いてくる。 その時、俺の唇に、ユナの舌の、柔らかい感触が伝わってきた。それは、まるで、俺に、もっと深く、もっと奥へ、と誘っているようだった。俺は、その誘いに抗えず、ユナの舌に、そっと自分の舌を絡めた。二人の吐息は、熱く、そして、甘く、階段の空間に、溶けていった。 抱き合っていると、ユナの柔らかな胸が俺の胸に押し付けられ、ふにゅ、ふにゃっと、心地よい感触が伝わってきた。それは、中学からずっと想いを寄せていたユナの体だ。その事実に、俺の心臓は、激しい音を立てて高鳴った。 キスを交わしたばかりだというのに、もっとユナを感じたくなり、俺は、拒否されるのを覚悟で、腰に回した片手を、スカートの上から、丸みを帯びたおしりに延ばした。 触れた瞬間、ユナの身体は、ビクンッと、稲妻が走ったかのように反応した。だが、それは、拒絶の震えではなかった。ユナは、俺の首に回した腕に、ぎゅぅぅと力を込めるだけで、その唇から、「んっ……」と、快感に震える甘い吐息を漏らした。 ユナの瞳は、潤んだまま、俺を真っ直ぐに見つめていた。その表情は、恥じらいと戸惑いが入り混じりながらも、どこか、この密やかな行為を許しているように見えた。 真面目で、誰からも慕われる優等生のユナが、なぜ俺なんかに? そんな思いが
「わたしの膝の寝心地は、どうですかー?」 ユナが、俺の頭を優しく撫でながら、そう尋ねてきた。その声は、まるで俺の心を、包み込むように温かかった。 良いに決まってる。ユナの膝は、柔らかくて、良い匂いがした。俺の心は、嬉しさで、ぎゅっと締め付けられた。胸がキュンとして、このまま時間が止まってほしいと願った。「あのね、もっと……わたしにも、甘えてくれていいよ?」 ユナは、そう言って、さらに優しく、俺の髪を撫でてくれた。その声は、俺の心に静かに、そして深く響いた。 ユナの「甘えていいよ」という言葉の意味が分からず、俺は困惑した。「甘えるって……手を握ったり? それとも……勉強を教えてとか?」「うん。どっちも……かな」 ユナは、そう言うと、俺の震える手を、そっと握ってくれた。その指先から伝わる温かさに、俺の心臓は、さらに強く高鳴った。「……ユイトくんの……手を握っちゃった♪」 ユナの膝枕と、温かい手の感触、そして、頭を撫でられる優しい指先に、俺の心は、ドキドキと安心感が入り混じり、徐々に意識が薄れていった。 そして、俺は、心地よい眠りに落ちていった。 ふと、気が付くと、俺の頬に、柔らかな感触が伝わっていた。優しい甘い匂いが、俺の鼻腔をくすぐり、かすかな甘い吐息が、俺の耳元で聞こえた。「んっ……ふぅ、んん……はぁ、ユイトくん……」 柔らかな感触は、ユナの柔らかな頬だった。俺の頬に押し付けられ、熱を帯びている。ユナは、俺に甘えるように、その顔を、俺の顔に、もっと深く埋めてきた。もしかして、俺が寝ている間に、ユナは、俺にキスをしてくれていたのだろうか。 逃した!? 俺は、焦りと、そして嬉しさで、胸が締め付けられた。 ふと、ユナの柔らかな頬が、俺の頬から離れていく
これで、俺の秘密基地ゲットだ。たぶん、生徒か先生が、鍵を無くさないようにと、掛けっぱなしで忘れていった物だろう。「あーたぶん、これ……鍵のかけ忘れだね。ちゃんと先生に言っておかないと」 ユナは、そう言って扉を閉めようとした。「え? これ、秘密にしててくれない?」 俺は思わず、そう口にしていた。「……えぇ? なんで?」 ユナは、驚いた顔をして、俺を見つめた。「ここを二人で、こっそり使わない?」 俺の言葉に、ユナは、少しだけ頬を染めた。「……二人で? え? えっと……何に使うの?」 その言葉は、まるで俺に、これから何をするつもりなのか、と問いかけているようだった。「あ、ごめん。なんでもない……」 そうだよな。ユナとは、そういう仲じゃないし。イチャイチャできるような関係ではない。 俺が口ごもると、ユナは、俺の表情をじっと見つめ、その瞳を潤ませた。「ううん。二人で……なにする……の?」 その声は、震えていた。俺は、その問いに困りながらも言葉を返した。「お話とか……」 俺の言葉に、ユナは、少しだけ首を傾げた。「お話かーここでもできるけど?」 ああ、だから、二人っきりで……周りを気にしないで話をしたり……いい雰囲気になったりしたいんだけどな。俺は、心の中で、そう叫んだ。「だから、ごめんって……忘れて」「気になっちゃうなー」 ユナは、そう言って、俺の顔を覗き込んできた。あれだけ理想の人だと思っていたのに、そして、話してみたいと強く願っていたのに、だんだんと、相手をするのが面倒だと感じ始めていた。「&helli
「イヤじゃないって……! って言うか、俺が取れば良いんじゃない?」 ユナの言葉に、俺は少しだけ戸惑った。前回、俺がドジを踏んで、ユナに抱きついてしまったことを思い出したからだ。だがユナは、そんな過去を気にしている様子もなく、俺に微笑んだ。「え? だって……わたしが頼まれた仕事だし」 ユナは、そう言って困ったように微笑んだ。その表情は、まるで俺と二人で、この時間を過ごしたい、と言っているようだった。 今回は、トラブルもなく、俺たちは、スムーズにプリントを手に入れることができた。「わぁー良かった!」 ユナは、嬉しそうに、そう言った。その声は、心からの安堵に満ちていた。「普段は、誰と取りに来てるの?」 俺がそう尋ねると、ユナは少しだけ恥ずかしそうに、俺の目を見つめた。「ううん。国語の担当がいるでしょ? 今日お休みだから代わりに取りに来たんだよ。前回もだよ。」 そう言えば、各教科に担当がいたっけ? そういえば……俺も担当ってあった気がする。一度も教材を取りに行ったことなんてないけど。「ユイトくんは、音楽だよね。」 ……え? 俺が覚えていないことまで、ユナは覚えているのか。頭が良いのか、それとも俺のことを気にしてくれているのだろうか。俺の心臓は、さらに強く高鳴った。 昼食の時間になった。教室でユナに声をかけられるのが少し恥ずかしくて、俺は、さっさと自分のカバンを持って、廊下に出てユナを待った。「もぉーユイトくんが見当たらないから探しちゃったよー!」 ユナは、少しだけ頬を膨らませて、俺のところに駆け寄ってきた。「あ、ごめん。いつもの癖で……」「いいよぅ。ちゃんと待っててくれたから」 俺とユナは、二人で並んで歩き、別の屋上へ通じる階段に向かった。その屋上への扉も、俺がいつも行っているところと同じように封鎖されている。だから、人も来ない場所だ。俺の教室から